ロミオとジュリエットー僕と君とあいつとー 裏後書き
この記事は「ロミオとジュリエットー僕と君とあいつとー」の裏後書きになります。
今まで解説してきませんでしたが、実はこの「裏後書き」というふざけた造語はチラシの裏にでも書いておけの「裏」を意味しています。
裏というのですから、相当、、それはもう表で語れないことが満載・・・・とは言い切れませんが、ここからは本編のあとがき以上に酷い羅列が見られますので、苦手な方は今のうちにブラウザバックお願いします。多分過去一長い解説になりそう。おらワクワクすっぞ!!!!
~扉絵で本編を思い出そうのコーナー~
毎回恒例のご挨拶にはなりますが、まずは読了したから来たよ!って人、お疲れ様です。読了おめでとう&ありがとうございます。またバカこれまでもこれからも読むこたぁねえよって人も、なんでか興味本意で覗いてしまったことでしょう。ありがとうございます。
えー……令和に11万字のノルアイ本出してる奴いる~~~~!?!?いねぇよねナァ!!!!!!いたわ。はい。改めまして「ロミオとジュリエットー僕と君とあいつとー」をお書きしました。てんぐです。本作のご紹介をする前にこちら、ノルウェー誕生日小説とアイスランド誕生日小説の作品ページと後書きをご紹介いたします。
まだの方は読んでいただけるとより楽しめるかもしれません、特にノルウェー誕生日はノルウェー視点になっており本編とは異なります。是非読み比べてみてください。
また裏後書きに入る前に、今作に携わっていただいた方々のご紹介をさせていただきます。
まずは全カウントのアイコンは全てこの方の神絵によって支えられております、今回のサークルカットを描いていただいた「あろそインコ」様。
本当に素晴らしい絵をお書きになるので、よろしければ是非ご覧ください。ヘタクラさんではないのですが、最近は呪術廻戦を中心に二次創作されているそうです。
そしててんぐファン御馴染み、表紙絵担当の「イナアワ」様の各種SNS……を紹介したかったのですが、Twitterリンクがうまいことはれず……こちらのリンクより辿っていただければと思います。(力及ばずかたじけない)
イナアワさまは普段は「あやまちーむ」という同人サークルでBLゲームを制作されておりまして、なんとこちら最新作の「4人の花嫁」無料でプレイできます。是非、是非プレイされてください。ジャンルとしてはホラー?×ミステリー×オカルト?なシナリオゲーでストーリーが秀逸で、何人ものコアなゲーマーが舌を巻いたとの噂です。
「4人の花嫁」は、キャラクター設定、写真提供で少しだけ携わせていただいています。スチール絵をお借りしましたので、掲載させていただきます。
(この絵よく覚えておいてプレイしたらうぉってなるよ)
いつもてんぐの作品を彩ってくださっているイナアワさまワールド全開のゲームに仕上がっています。
またこの中でてんぐを(勝手に)モデルにした(された)キャラクターがいるので、てんぐファンはぜひプレイしてみて、当ててみてください。本当に似ているのか、第三者から聞いてみたいものです。
クレジットにも名前をいれていただいているので、プレイ後はぜひみつけてみてください。
友人が作った作品とはいえ忖度なしでまじで面白いです。その他、有料にはなりますが「俺の〇休み」も滅茶苦茶面白いのでぜひ。
今回のサークル参加は(かっこよく言うと)美術担当のお二人なしでは無しえないものでした。お二人に最大の拍手と感謝を。ほんとうにありがとうございます。
ほな本編いきます。おまたせ。
まずはこの本が生まれた経緯についてですが、後書きでもお話したとおり、てんぐ自身がお芝居に救われ、お芝居をする彼らが見たかったから生まれた物語でした。
身内の舞台をみて、というのが一番の理由にはりますがですが、実はその他にもミュージカル刀剣乱舞や舞台刀剣乱舞、その他さまざまなお芝居にも救われたことがきっかけだそうな。(作中でなんか刀ミュで見たぞってシーンがあれば間違いなくそういうことだ)
実をいうと、当初の設定ではノルウェー兄とアイスランド妹でお話を構築していました。妹が活発的に動いて、どんどん先に行ってしまう妹に焦る兄というのを思い描いていました。
しかしながら何度も構想をねって、慎重に考えた結果、いつも通りの兄弟になりました。そもそも北欧の中でも公式で女体化しているのはフィンとスーさんだけで・・・・女体化本をだすことの難しさにひよった、というのも理由の一つです。
とはいえいつかは女体化本もだしたいね。
数々のお芝居がある中で、何故「ロミオとジュリエット」を選んだのかについてですが、実はてんぐは演劇をやっていた過去がありまして。(あとがきにお芝居に再会したと書いていたのはそのためです)
そうしたことから色んな作品に触れてきたのですが、奇しくもロミジュリだけ触れる機会がありませんでした。
概要すらも知らず、かの有名な「おお、あなたはどうしてロミオなの」という台詞だけが自分の中で独り歩きしている状態で、果たしてどういう物語でその台詞が生まれたのか、ずっと気になっていました。
それである日、なんとなく知ってみるか~という出来心で触れてみると思った以上にシンプルかつ分かりやすいお話でびっくりしたのを覚えています。
二人は生きていたのに、互いを想うばかり死んでしまうのが、なんだか切ないなぁ、この切なさと愛が世界中の人々を魅了したきたのか、と思ったのと同時に、本編で香くんが言っていたように「俺なら駆け落ちする」というのは半分自分の意見も混ぜたようなものだったりします笑
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ただシンプルで分かりやすいながらに、どこまで深掘りをして、作品の核を引き出し、物語を描けるかは一番の勝負所だなと書くたびに痛感していました。
今回は双子の兄、ジュリオということで新たに物語を展開していきましたが、お楽しみいただけたでしょうか。彼の存在は(世界中で語り継がれてきた)ロミオとジュリエットを見届ける私たち観客とリンクするようでリンクしないような、狭間にいる存在、だけど主役という絶妙な位置で動いてもらいました。こんな無茶ぶりをやってのけてくれたアイス君は間違いなく天才役者です(親バカ)
今更ながらにですがこの滅茶苦茶な脚本が、ロミジュリ信者に怒られないか不安です。
また物語の中で、台湾はこの脚本をゴールデンウィークからノルウェーの誕生日前まで、およそ一週間あたりで書きあげていて、冷静に考えて早すぎないか?とも思って書き直そうかとしたのですが、てんぐが芝居シーンを大体二日で書きあげたので、あ、余裕かもしれない。ということでそのまま採用したのでした。奇才だしね、うん、それくらいは出来るかも。筆はやそうだし。
そんでもって今回は物語の都合上アイス君を演劇オタクにしました。どうしても、どーーーしてもこれは演劇オタクにしないと辻褄があってこないかも。ということで、なってもらいました。オタクって言われてちょっと嫌そうなアイス君が17歳らしくて我ながら気に入っています。
そして今回の裏テーマといえば、香る梅。ということで今回は香港くんにも初登場していただきました。めっちゃ楽しかった〜。今まで自分の中で、香くんという位置づけがかなりブレていて、アイスと仲のいい、話せる友達というくらいガバ認定だったので、書いていくうちにどんどん解像度が上がっていったのは不思議な感覚でした。
というのも、自分の中でノルアイがあまりにも大きすぎて、デンマークやその他北欧3人が介入することもあまりなかったと言うか、他者を入れたとしてもチーム北欧5としてか描いてきませんでした。
そのくらい他の第三者が彼らの間に入る隙は与えてこなかったので、今回始めて同じ学校に通うクラスメイトであり親友として香港くん描くこができてとっても楽しかったです。
こうして意識できたのも、実は前回インテで初参加した際にお隣のサークルさんが男子高校生組だったおかげです。
リアルイベントで他の創作者さんとお会いし、作品に触れたことで新たに解釈が広がったのは本当に頭が上がらないですね。別カプですし本人様のお気に障ってしまうと思うと面と向かってお礼が言えないのですが、心から感謝しています。私の中の彼らを広げてくださってありがとうございます。
今回は学パロということで、色んなシーンを好き勝手書かせていただきました。書いててほんとに楽しかったー!ちなみにお気に入りシーンは香とアイスが文化祭前日に泣き合うところです。
ずっと二人三脚でやってきて、アイスのことを一番傍でみていた香がアイスの恋を知った時、一体どんな顔をするんだろう。そしてどんな風に受け止めるんだろうと真剣に考えた結果ああなりました。
きっと男前で妙に器が広いから、笑って受け止めたり真剣に考えてあげて涙を流すことだろうな……と思い、想像以上に泣かせてしまいましたが……
ベラルーシのシーンもお気に入りです。実は最初は「もう少し自分に素直になっても神は怒らない」という台詞にしていたのですが、原作のベラルーシだったらそういうことを言うと思うのですが、学生のベラルーシなら神という単語や考えは使わずに「もう少し自分に素直になっても誰も怒らない」と言うと思って修正した思い出深いシーンです。
本編では触れることはありませんでしたが、ベラルーシが今回出演を決めたのも大好きなロシアを振り向かせるためです。熱演する自分を見て少しでも見直して欲しいという乙女の健気な思いからです。
ベラルーシはよく見ている子なので、ノルウェーがプールに来た時からアイスランドの小さな反応に気がついて、兄のことが好きなんだろうなと直感的に分かります。そこから、何か言葉をかけてやりたくなってあのセリフに至りました。
自分と鏡写ししたようなアイスの恋に、どうしても味方がいると言いたくなったんだと思います。
また今作ではアイスはノーレを「お兄ちゃん」を呼びますが、これは物語の前作にあたる、これは「 」じゃないこれが「 」だとしてもでも、意識的にお兄ちゃんと呼ばせていました。
前作で頂いた感想の中にも、原作では頑なにお兄ちゃん呼びを拒んでいるのに、ナチュラルにさせているのは何か狙いがあるのでしょうかと質問をいだいたことがあったため、ご説明させていただきます。
お兄ちゃん呼びはたしかに原作では頑なに呼ぶのを拒んでおり、かくいう私も普段の作品ではそこを守っていたのですが、もしもお兄ちゃんとナチュラルに呼ぶ弟がいたらそれはどんな関係の兄弟なんだろう、どういうノルアイになるのだろうと……思い今回はもしもの世
界=学パロという世界線で「お兄ちゃん」と呼ばせたという経緯があります。
原作を守ることは二次創作をする上でもちろん必要なことであり、もはやエチケットだと考えているのですが、自身なりの彼らを展開した時に新しいものが見えるんじゃないか、ということで思う存分てんぐワールドを展開させていただきました。
またこちらは少々民俗学の話になるのですが、名前を付けるという行為は契約や命を宿すということになります。(すみません本業なもので、学説引っ張り出してます)
そしてその名を呼ぶという行為は、祝いであり呪いである。民俗学の父、かの柳田国男はこう問いました。
その名前を呼ぶことで、その人自身がアイスランド、ノルウェーという人物を確立し、この世に縛り付けるものになるので、自身が二次創作をする際に、登場人物が誰かの名前を呼ぶ時は実はその事を意識していたりします。
そのため今回「お兄ちゃん」としつこく呼ばせていたのは、アイスの抱く恋心は結ばれるはずのない恋、思いが届くはずのない恋で、実の兄のことを愛してしまったことを象徴させるためでした。中々グロいなぁと自分でも思うのですが、「お兄ちゃん」と呼ぶことで無意識化に家族だと何度も認識させていたのです。
自分で自分自身の首を絞め、兄弟という関係性を呪っているのです。今回はライトなお話にしたためあまりそういう描写は書きませんでしたが、実は心の奥では無意識に縛っているのだった……ということをやんわり知ってただけると嬉しいです。
また冒頭にありました、夢の回想シーンでフィンランドに「ダン君」と呼ばせたシーンにつきましては、わざとです。(という言い訳)
最初は素で間違えており(おい)気がついた時に直ぐに直そうとしたのですが、いや、待てよ。もしもの世界ならダン呼びはありなんじゃないか?そもそもアイスだけがダン呼びって変じゃないか?1番末っ子なのに誰かが最初にダンって呼ばないとその発想にならないと言うか、誰かの真似から始まってそう呼ぶんじゃないか?といういつもの考えすぎるてんぐの悪い癖でダン君呼びが採用されました。(それからは成長するにつれターさん呼びになってます
かくして、正史(原作)とも言える国たちのお話ではないことを強調するためにも少しずつ改変させていただいた、ということでご容赦いただければと思います。
また細かい解説をしていくのですが、他作品から表現を拝借したところ、インスピレーションを受けたところ、こだわり部分などを一気に大放出。
お芝居のシーンで、ジュリオが「今時、男女の恋愛なんて流行らないだろう」という台詞があるのですが、こちらは参考文献に記載しました「Rock Opera R&J」にありますロミオとジュリエット二人が、「女と寝るなんて流行らない」「男と寝るなんて流行らないわよ」という台詞が大好きでして、そちらからお借りました。このまま「寝る」という表現を使うと高校生の演劇にはふさわしくないので、「男女の恋愛」ということで丸く表現させていただきました。
また同じくお芝居のシーンでロミオとジュリオが街を出て最後に言葉を交わすシーンでは「どうか気を付けて」というジュリオの台詞があるのですが、こちらは宝塚歌劇団のロミオとジュリエットよりお借りしました。宝塚では、ロミオとジュリエットがバルコニーで会話をした後に、ロミオが帰ろうとしたきジュリエットが「気を付けて」と凄く優しい声で心配するシーンが心に残っていて、その後見つめ合ってキスをするのですが、なんとかこのジュリエットの美しい心をお借りしたいな~と思い全く別の状況にはなりますが使わせていただきました。
また、もう一つだけお芝居のシーンより。今回の脚本ではラストは死神を頻出させました。これは宝塚歌劇団の演じたロミオとジュリエットで愛と死神として二人のダンサーさんが出演することに影響を受けたことも理由の一つですが、
宝塚歌劇団以前より、「ロミオとジュリエット」を演出され、そして「ミュージカル 昭和元禄落語心中」を演出された小池修一郎さんをリスペクトしてのことです。小池修一郎さんと言えば日本を代表する演出家で凄い方なのですが、実は私の身内が小池修一郎さんと一緒にお仕事をさせていただいたことがありまして、自分にとっては非常に親近感のある方です。
ロミジュリの他、シェイクスピアの作品で「死神」を頻出させ、またミュージカル落語心中でも(原作が直接的に死神を描いていますが)死神を出していたことから、お借りした演出でした。
特に落語心中は私自身が原作の異常すぎるガチファンなのもあり、またこの作品を書きだす直前にミュージカル落語心中を観劇したこともあって、色々と考えることがあり、ト書きとしてではありますが、死神を使用させていただきました。
また花火をするシーンでは、「あの人の見るもの見て来たもの全てを詰め込んだみたいな青色の花火が、儚くも舞って輝き始める。そうか、だから僕は青色が好きなんだ。」という表現をしていますが、これは前作とのリンクをさせたくて書いたものでした。前作「青の君へ」でクライマックスにおいてとある人がノルウェーにある言葉を送ったのですが、それが自分の中でもかなり気に入っておりまして、そちらの地続きのようで、でも少し違うという曖昧な表現をしてみました。
またこれは今作の最大の言い訳タイムになるのですが、今回は少し粗く書くことを意識しました。久しぶりに前作を読み返してみると、文章がまとまっており、ここは上手いな、と自画自賛するシーンが多いのですが、思い返せばそれは何度も時間をかけてゆっくりと読み返しながら書いたからでした。
今作は高校生の粗さ、未熟さを書くために、一度書いたらほとんど採用する、という無謀な駆けで書きあげました。(いつもはなんか違う!で一気に全消しして書き直すを繰り返しています)
誤字や展開の意味不明さは極力なくしたつもりで、テンポ感、ごろのよさを大事にしました。ラノベ意識したってほうが近いかも。ただ、それでも誤字が確認できており、また致命的なミスが二箇所発見してしまって、今すぐその部分だけ焼ききりたい勢いです。見つけた人はだまって目を瞑るか、燃やしてください。(オークション、駿河屋転売、ぜったいだめ!)
お稽古やお芝居のシーンについてですが、最初に触れたようにてんぐは演劇経験者です。しかしながら、演劇を知らない彼らが一から舞台を作る、ということで極力経験者らしい書き方は避けるよう心掛けました。かといって序盤のアイスと香の会話であった「BLにはしたくない」は私の芝居論が少々混じっていたりします。
本当ならゲネプロ終わりに演出を変えられて滅茶苦茶イライラするとか、台詞が頻繁に変わるとか、共演者の感情の波など色々とありったけのあるあるを書きかったのですが、そこはぐっとこらえました。いつか活かせる日がくるといいな、と思います。
また今回はジュリオというキャラクターを作ることでなんとか舞台を成立させました。
読んでいてお察しの方もおられることかと思いますが、ジュリエットの兄「ジュリオ」をノルウェーの弟であるアイスに演じさせたことはこだわりのひとつでした。
弟として生まれてきた彼が、実の兄のノルウェーとは違う誰かの兄という存在を考えること、またそれを演じることは意味のあるものだったのかなと考えています。
兄とはどういう物で、妹(弟)を思う気持ちはどんなものか、必死に考えてその考えが台詞に反映されていると思っていただければ幸いです。
ロミオとジュリエットの物語はお借りしているものの、そのほとんどがオリジナル脚本になっているので、原作と読み比べると面白いかなと思います。
特に二人が死んでからの、ジュリオの一人語りは……自分で言うのもなんですが涙を流しなら書きました。
アイス(高校生)にこういう台詞を言わせる台湾凄ないか?普通言わせるか??と思うところ満載なのですが、まああのなにせ奇才なもんで……ご容赦を……。
今作は大きな括りで「愛」がテーマだったわけですが……
アイスランドが抱える一番大きな感情は言わずもがな、ノルウェーへの愛です。
それはこれからも変わらないし、生涯をかけて育んでいくことと思います。
しかしながら、愛というのは一つではない。
誰かを愛することに留まらず、例えば花が美しいこと、雨が降ること、もっと言えば美味しいものを食べて幸せになること、心惹かれるもの、芸術、音楽に触れることは愛のひとつです。そうした様々な愛をアイスは知っていて、お芝居を作る上で成長を繰り返し、いろんな愛を見つけていったけれど、その中でも一番に大事にしていたのが、ノルウェーへの愛でした。
彼はジュリオが死の間際に真実の愛に気がついた時、世界のものがたまらなく愛おしく見えていたことでしょう。そしてその視線の先には彼がいたのです。
だからこそラストの告白は色んな愛があるけど、この愛を一番に大事にしたいと思ったからこそ言えた言葉の数々だったのです。
告白のシーンで彼は何度も、「ごめんなさい」と謝りたくなったし、脳裏に何度も浮かびました。前までの彼ならそう言ったでしょう。しかしながら、その言葉を使わなかったのは、香に謝るな、気持ちに嘘をつくな、と言われたからでした。
ラストを書き上げ、あとがきで思いを吐露した時、心からほっとしました。
実はこのラストを書き上げるのに一番時間がかかりました。プロットは埋まるのにラストだけがどうしたものか空白のまま。
この物語は、ノルウェーもアイスのことがずっと好きだったというオチでまさかの両片思いで幕を閉じた訳ですが、如何せん告白されたとしてどんな風にノルウェーが答えるかが全く分かりませんでした。
何度も考えて、答えが見つからなくて、その分からなさに涙を溢してしまうくらいだったのですが、作者が泣いたということはきっとノルウェーはその倍以上苦しんでいたのだと思うと、なんとか糸口が見えて、結果何も言わない。というなんとも逃げの表現が落ち着くことに気が付きました。
最後の最後ですが、「ロミオとジュリエットー僕と君とあいつとー」というタイトルは、自分で何度読み返しても恥ずかしいなぁと感じてしまうくらい、青春に溢れていて、苦しいです(笑)高校生特有のアオハル臭がきつすぎます。最初は「ロミオとジュリエット¿」にでもしようと思っていたのですが、ジュリオを最初からなきものにはしたくなかったし、かといってジュリエットも蔑ろにしたくはありませんでした。
なによりシェイクスピアへのリスペクトで「ロミオとジュリエット」というタイトルはフルで使うことが礼儀だと思って、色々と悩んだ結果ー僕と君とあいつとーとつけることにしました。誰視点の「僕と君とあいつと」なのかはお好きに解釈していただければと思います。
あと一点だけ。こちら感想箱です。気が向いたら「ノルアイ最高!」でも入れていただけると嬉しいです。
そんなこんなで長々とお話しましたが、裏後書きはここまで。今まで一番長い解説記事になって驚いてます。(今数えたら一万字ありましたほんまにごめん、本誌とあわせて12万、小説本ですね。ここまで読んだ人いるのかしら……?)
また気が向きましたら随筆中BGMのプレイリストを更新しにこようかなと思います。
改めましてこの度はお手に取っていただきまして誠にありがとうございました。彼らの恋の一幕を見守っていただいて、心から嬉しく思います。
それでは。また。
2025年8月24日 てんぐ
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